平成22年度地域木造住宅市場活性化推進事業

  • 1. 事業名 「地域木造住宅市場活性化推進事業 名工家」
  • 2. 事業実施期間 平成22年6月 ~ 平成23年2月28日
  • 3. 事業主体 住環境価値向上事業協同組合
  • 4. 事業の成果

ストック住宅管理を担い「地域に必要とされる工務店」ネットワーク

平成22年度の「名工家」の活動はより実践的なものとなった。目指したのは工務店の連携による生産の仕組みのプラットホーム化であり、ストック化時代の地域木造住宅市場での「地域に必要とされる工務店」としての業態開発であった。

1. 人材のプラットホーム化

(1) 現場監督交流会議

現在、工務店の木造住宅に関する品質は現場監督によって担われている。しかし、施工現場での中核的人材である監督たちを体系的に育成する仕組みや他社の管理方法を知る機会は殆どない。そこで、現場監督の現場管理及びその手法を共有化するため「名工家・現場監督会議」を6月より隔月に開催し、各社の現場管理手法の公表や改善のポイントなどの管理視線の共有化を図っている。

(2) 専門工事業者の統一評価シートの作成

現場監督交流会議の課題の一つとして「専門工事業者」の評価ポイントが挙げられていた。取り分け、品質に対する影響力の大きさから、全施工人工の47.4%を占める大工、11.2%を占める基礎工事業者(「4社歩掛かり調査より」)ら主要12職種についての評価ポイントが求められた。これを受けて、「専門工事業者評価シート」を作成した。

(3) 3社合同大工職のプロフィール作成

顧客にとって、家づくりにおける特別な存在は現場職であり、やはり大工の存在である。しかし、いまや大工を社員化したり、常傭としている工務店は減少している。「名工家」では、こうした大工たちの存在価値と各自の職能に対するプライド、さらに技能者としての競争力を高めてもらうために、「名工家」認定大工として、そのプロフィールを公開することとした。

公開内容は、氏名・住所・血液型・経験年数・所属工務店・仕事への取り組み姿勢。

2. 家守りのプラットホーム化

「管理工務店」不在層及びOB施主に対して、きちんとした点検をメインに「管理工務店」としての「家守り」を行うことを明文化し、住まい手に管理コースを選択してもらう仕組みを検討した。

1社では不安定なイメージが抱かれやすい工務店ではあるが、顔の見える範囲でのネットワークを作り出すことで、住まいの「検診」を担う「組織」があることを地域の住まい手に告知していく。

当初はOB施主中心であったが、有料でも会員になりたいという「無管理住宅」の住まい手も徐々に出てきている。

3. 担い手育成のプラットホーム化

(1) 現場マナーマニュアルの作成

住宅の品質に対する顧客の満足度及び近隣の評価向上は、現場品質管理から始まる、といっても過言ではない。この品質管理に対する評価の中心となるのは「見える行為」「聞こえる行為」であり、現場職たちの立ち居振る舞いにこそ視線が注がれている。

その基本となるのが現場でのマナーである。「施主が、施工や管理に対して不快、不安に思うこと」をやらないことがマナー原則である。そして、そうしたマナーを実行できることが、工務店が現場職に対して求める最低限のスキルである。

ここでは「現場を大事にする」とともに「自分たちの働く環境」を良化する意味を含めてマナールールブックを作成した。これと同時に「現場監督必携」の必要性も感じており、今後は「名工家」としての現場監督のスキルアップを図る計画である。

(2) 大工会の結成と定期交流会実施

大工技能も基準法の厳格化や長期優良住宅の普及施策に対応するための性能の確保とその施工方法をきちんと習得することが不可欠な時代を迎えている。

こうした状況から大工会を結成し、大工を中心とした技術交流会を開催し、新規参入してくる大工たちに対して、実践的な情報提供(今年度は断熱材供給が逼迫し、現場での盗難などの被害もあった、という情報など)や対策、大工同士のコミュニケーションの場が形成され、結果として大工としての新たな技術情報を習得する場となった。

こうした大工会は、新たな人材育成の方向性、即ち実践的な大工像とその保持すべきスキルを明快にしていく。今後は駄目施工研究等を重ね、より質の高い施工追求も行う。

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